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夏旅2005 第38日目: 蜩(ひぐらし)でのライブ
僕は夕べの水車物語のあと、以前ライブをした阿蘇郡西原村の「風流(カザル)」に宿泊。ここで、友人の永山真起子さんと吉岡潤さんに再会!
で、今日は、吉無田高原の「窯元 蜩窯 / カフェ蜩(ひぐらし)」 でのライブです。
吉岡潤さんと
吉岡潤さんは、全国行脚するそば打ち職人です。単なる「そば打ち職人」ではくくれない、不思議な人。もう何度も全国行脚しているので、全国にお知り合いがいる顔の広い人。とても綺麗な目をした人です。ウクレレでオリジナルソングを演奏されるので、僕も4月に共演しています。
午前中は、昨日から一緒の一紗ちゃんと、潤さんに西原村を案内してもらいました。阿蘇の美しい雄大な景色、広がる青空、豊富な水.....。感動ひとしきりです。本日の会場である「蜩」に顔を出した後、全国からオーディオマニアが訪れるという、かの有名な「オーディオ道場」というお店に行き、お気に入りの音楽を素晴らしいスピーカーで大音量で流してもらい、大満足!
その後、「風流」で少し練習した後、本日の会場である「蜩」へ向かいました。
ここまでしてもらうなんて!
「窯元 蜩窯」 は、陶芸家である渡辺ヒデカズさんの窯元で、併設しているのがカフェ蜩です。場所は森の奥の奥の方にあります。着いてみると、中庭にたくさんのテラス席と、飲み物やご飯の屋台まで準備してくださっていました。たくさんの方が準備に奔走してくださっていて、大感激!ここまでしてもらえるなんて、ほんとうにほんとうに嬉しい。自然と演奏に気合いが入ります。
リハの時に
今日は、僕のソロ・ライブの予定でしたが、せっかく一紗ちゃんも一緒になので、半分ぐらい共演することにしました。
また、今日は、僕のライブに何度も何度も来てくださる、田代さんというハーモニカ奏者の方とも共演します。田代さんは、とても不思議で面白い雰囲気の方で、すっごくすっごく純粋で、プロではないけれど、趣味のハーモニカを大切に大切に吹く人です。63歳には見えない、若々しい服装も魅力です(Tokyo
Jazzの黒いTシャツがお気に入り)。
僕は、お客様としていつも来てくださる田代さんしかご存じなかったので、今日、初めてその音色を聴きました。曲は、「Amazing Grace」にしました。ソロを吹いていただくことにしたのですが、その繊細な音に、心をきゅっと掴まれました。少したどたどしいし、決してテクニックがある訳ではないけれど、一音一音を大切に大切に吹いてらっしゃる。でっかい体で、小さなハーモニカを大切に抱え、繊細な音を紡いでいました。ハーモニカが好きで好きでたまらなくて、それがその演奏する音と姿に現れていました。
横では、一紗ちゃんがぼろぼろ泣いて、涙が止まらなくなっていました。
実は、僕と一紗ちゃんがいつも一緒にいると、音楽専業で身を立てていくことの大変さや、オリジナルや即興演奏で挑戦し続けることの大変さについて、話し合うことが多くて、特に、お金を得ることを考えると二人で気が重くなっていました。二人とも、職業演奏家ではなく、自分の表現で食べていこうとしているので、そういう悩みは当然。そこに人生をかけているのだから、それと戦っていかなきゃいけないのだけど、今日も来る前にそんな話をしていて、一紗ちゃんは気分が落ち込んでいました。
そんなときに出会った、田代さんの演奏する音と姿だったので、涙があふれたのでした。結局は、プロとかアマとか関係なくて、音楽から伝わってくるそのお心。それを学びました(そのあと、一紗ちゃんは本番まで涙を止めるのが大変でした。僕ももらい泣き)。
そして本番!
なんと70名もの方が集まってくださいました!大きなイベントな訳でもない、僕個人のライブで、これほどの方が集まってくれることはありません。しかも、ほとんどの方は僕のライブは初めて。ひとえに、渡辺夫妻のご人望だと思いました。
野外席は、宴もたけなわ。室内でライブを楽しむ人と、外で飲みながらワイワイ聴かれる人と別れるかと思ったら、全員が室内に入ってくださり、ほんとに静かに、聴いてくださいました。
一曲目は、今日見た素晴らしい景色や流れる風と川、みなさんへの感謝の気持ちを、即興で演奏しました。そのあとは、「水滴のダンス」。そのあと、一紗ちゃんに登場してもらい、「小さな空」「歌うということ」。そのあと、僕がエクアドルで作った「祈り」。ここで前半を終了しました。
休憩後、後半は、一紗ちゃんのピアノ弾き語りに僕がピアニカで入った「想い」でスタート。もう何度も聴いている彼女のオリジナルだけど、今日はいつもにも増して、想いのこもった素晴らしい歌でした。さっき、たくさん泣いたもんね。
そのあと、僕が作った「新月」という新曲(元々は、一紗ちゃんとNYでやった即興が下地になっている)を弾きました。そして、田代さんとの「Amazing
Grace」です。田代さんの優しい優しいソロはお客さんの心をぐっと掴んだようで、たくさんの暖かい拍手をいただきました。そして、最後は僕のソロで「息をして」。アンコールもいただき、一紗ちゃんと「Danny
Boy」をやりました。盛大な拍手をいただき、ほんとうに感謝です!
打ち上げの席で
そのあとは、渡辺夫妻や、今日お手伝いくださった方々、友人の永山真紀子さん・吉岡潤さんと一緒に、打ち上げしました。
その席で、みなさんといろんなお話をしました。渡辺さんは2日前にこの近所に住むご親友が急にお亡くなりになり、お通夜に行かねばならぬところを、ライブを切り盛りしてくださったことをを知りました。その亡くなられた方も、僕のライブを楽しみにしてくれていた一人だから、僕のライブを弔いだと思って、今日の会を盛り上げてくださったとのことでした。
「最後に重松くんが『息をして』を弾いたとき、死んだ親友はもう息をしていなくて、こうして生きている自分が引き継いでいかなきゃいけないと思った」と言ってくださいました。それと同時に僕が感じたのは、僕は命のことを表現しようと思っているけど、僕みたいな若造が、人の生死を表現するなんてとんでもないことであり、それを謙虚に受け止めながら、表現し続けなければいけないと思いました。
その後も、渡辺さんが同じアーティストとして色々アドバイスをくださったり、渡辺さんのお仲間の方々も僕の今後に期待を込めた上で、たくさんのアドバイスをくださいました。ここには書ききれないくらいたくさんのことを学ばせていただきました。
夜はそのまま渡辺さん宅に泊めていただき、おうちでも、色々お話を聞かせていただきました。
ほんとに濃い一日でした。何にも代え難い、素晴らしいものをいただき、学ばせてもらった一日でした。皆様に心から感謝を申し上げます。本当に有り難うございました。
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