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熊本ツアー第15日目: グループホームへ(3日目)
今日は、介護施設での演奏まわりの最終日。
阿蘇のグループホーム、2軒に行きます。今日もフルートの栗谷かずよちゃんと一緒です。
今日の阿蘇は、朝から雪がちらついています。
雪の中で
最初の1軒目は、ピアノのない施設だったので、かずよちゃんのソロ・コンサートでした。
聴いてくださるおばあちゃん、おじいちゃんは、ソファや車椅子に深く座り、毛布をかけ、静かに目をつむっている方が多く、認知症の症状が重めの方々のように見えました。
会場に入るまで、空は曇り、雪が降っていました。
でも、かずよちゃんが一曲目の「アベ・マリア」を吹き始めたら、太陽が出て、会場に暖かな陽が注ぎました。
柔らかい優しい空間に、陽がさし、でも雪は優しく舞っていました。安らかな顔で聴いてくださるおばあちゃんとおじいちゃん。とても素敵な空間でした。
コンサート終了後、かずよちゃんの手を握って、涙ぐむおばあちゃん。
また来ますので、いつまでもお元気でいてくださいね。
最後の演奏
その後、阿蘇の別の施設に行きました。ここが最後の演奏です。
うってかわって、こちらは元気な方がたくさんいらっしゃる会場。
今回、途中からレパートリーに加えた「青い山脈」は、みなさんの青春時代の流行歌のようで、みなさん嬉しそうに歌ってくださいました。
この3日間、MCに関しては、基本的にはかずよちゃんに任せていました。かずよちゃんはとても上手。みなさんに分かりやすく、大きな声でゆっくりとしゃべるし、みなさんの笑顔も上手に誘い出します。
最初は、「かずよちゃん、すごいなぁ」と思っていたけど、今日、僕もしゃべらせてもらったら、何だか上手に「みなさん、こんにちは〜!」ってしゃべれてた。
コンサート終了後、おばあちゃんたちとの交流タイム。
後ろの方で、ずっと踊ってくださっているおばあちゃんがいて、「わたしは、踊りだしたくなるったい。ばってん、息子たちはみっともなかけん、やめなさいって言うけん、いつもは我慢するとたい」っておっしゃってて。いやいや、音楽聴いたら踊りただしたくなるのはとっても自然だし、健康にもいいから、いっぱい踊ってくださいね。
3日間を終えて
今回、3日間のグループホーム&デイケアサービスでの演奏を行って、ぼくはたくさんのことを学びました。
それはちょっとずつ、今後の自分の音楽にフィードバックしていきますし、福祉関連の活動も行っていきたい。
「既存の曲をやりたくない」という僕の頑固っぷりも、ちょっとは緩くなったかな?
でも、基本的には考えは変わってなくて、みなさんが感動して泣いてくださるのは、それがみなさんが知っている曲だからというより、やっぱり音楽そのもの、演奏そのものに心を振るわせてくれたからだと思う。僕やかずよちゃんの音が曇ってしまったら、いくらみなさんがご存知の曲をやったとしても、伝わらなくなると思う。
これからも、みなさんと心が通じ合えるような音が出せるように、精進します。
あと1つ、僕が勘違いしていたことがあるので、ここに書いておきます。
こういった、福祉施設での演奏というものが、いたるところで頻繁に行われていると、僕は思っていました。
でも実際には、それほど多くはないようです。特に、プロによる本格的な演奏となると、みなさんが頻繁に耳にできるわけではない。
僕らのように、毎日色んなことがあって、泣いて怒って笑って過ごしているのと違って、とてもフラットな意識、感情で毎日を過ごされている。だから、僕らが演奏に行くことは、とっても大切なことだった。
一見、おばあちゃんたちに人気のありそうな寅さんのビデオでも、15分ぐらいで飽きてしまうそう。なのに、30分のコンサートを、泣きながら、笑いながら、楽しそうに聴いてくださる。
「今日はコンサートだわ」と、お化粧して、おしゃれして集まってくださるおばあちゃんもいる。
「クリスマス ミニ コンサート」の看板をみなさんで手作りしてくださって、待っててくれる。
干し柿やみかんをお土産に持たしてくれて、姿が見えなくなるまで手を振って、見送ってくださる。
僕のマネージャーの鵜島にこの話をしたら、「世の中からは、もう捨てられたと思っていたのに、コンサートに来て、話もしてくれて、きっと嬉しかっただろうね」と言っていた。
そうだね、そうかもね。
そんな社会なだけに、僕らはすることがたくさんあるね。
芸術分野は、いろんなところに可能性がある。
これからは、もっと広い視点でそれを考えたいし、行動したい。
今回、こんな風に施設をまわることができたのは、コーディネートしてくれたYさんのおかげです。
僕の今年の最終公演が、こんなカタチで終わったのがほんとに嬉しい。
みなさん、ほんとにありがとうございました!
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