2018年最後のイベント、音・布・ことば展 III「めぐりあう星」@美呆閑(長崎・波佐見)、無事に終わりました。
年末のお忙しい中、4回にわたる公演にお越しくださったみなさん、ありがとうございました!
詩人・言語造形家の稲尾教彦、テキスタイル作家の椎原由紀子、シンガーおきつななこ、ピアニスト重松壮一郎の4人での企画は、3年半ぶり。
時を経て、集い、表現を重ね合せることの歓びに満ち溢れた2日間でした。新しい表現から、お互いの成長を感じられることが、とても嬉しい時間でした。
稲尾教彦(のりへい)くんとの出会いは、十数年前。努力に裏打ちされた天才的なお菓子と、詩の世界、丁寧な生き様に感銘しました。彼も、僕の音楽と演奏に向かう姿勢に、自分と同じ何かを感じてくれました。お互いの表現に共感し、一緒に何か創るようになるのは、自然な流れでした。初めて共演した時は、詩の語りに音を重ねるのに、すごく考えながら挑戦したのを覚えています。でも幾度となく共演を重ね、今はもう、何も考えずに、自然に融和できています。
彼が北海道に旅立ってから3年半、まったく異なる環境で、詩と言語造形に取り組んだだけでなく、みんなに愛されていたあの菓子作りをやめ、詩と言語造形だけに専念したその決意。そこから生み出されるものとの共演に、わくわくしました。
今回の共演に間に合うように作詞してもらった新曲「夕凪」もいい歌に仕上がり、ななこちゃんもすぐにこの歌を自分の中に吸い込んでくれ、今回のプログラムに新たな風を吹き込んでくれました。
会場の美呆閑は、稲尾ファミリーの住んでいた家。そこに彼らがいることが、なんとも懐かしく、多くのお客様が久しぶりに訪れられたことを喜んでくださいました。
そして、由紀子さんのテキスタイルアートが、この家を表現の場に変貌させてくれ、布のオブジェが揺らめく中、僕らは安心してアートの住人となったのでした。
今回、特筆すべきは、子どもたちの成長ぶり。第3公演は、子どもが楽しめる時間というコンセプトにしたので、多くの親子連れで賑わいました。
稲尾家の長男・水声(みこえ)くんと、娘つむぎには、自作の詩を語ってもらったのですが、二人ともとても素晴らしかったです。水声くんが、のりへいくんの遺伝子をしっかり受け継ぎ、そのみずみずしい感性で自らの詩を紡いでいることに感動しました。
また、彼がバイオリンを始めたということで、「じゃあこの曲とこの曲で弾いてね」と音源を渡したのですが、「つむちゃんじゃないんだから、そんな簡単にできない!」と思いながらも、初めての耳コピをしてくれ、即興演奏にも初挑戦してくれました。
最終公演のアンコールでは、急遽、琉球音階を教えて、娘とともに沖縄セッションにも参加してくれました。
その吸収力や柔軟性は、子どもならではのものでもあるし、彼がもともと持っているものでもあるんだな。
今回、このような形で、彼にとっての新しい音楽の扉を開くことができて、(無茶ぶりと言われちゃうけども)本当に良かったなぁと思います。
娘つむぎは、この4日間6ステージすべてに出演してくれました。どのステージも堂々としたもので、出演を頼んだ者として、また同じステージに立つ者として、感謝の気持ちでいっぱいです。
3年前の彼ら彼女らの姿を考えたら、まったく想像もしていなかった世界を、共に創ることができました。
僕ら大人も、負けてはいられないね。また再会の時まで、がんばろうと思いました。
お越しくださった皆さん、出演者・出店者の皆さん、それを支えてくれた家族とスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
またの共演を、楽しみにしております!
★次回の共演情報!
【奈良】4/27(土)
きっとわかちあえる
〜詩と物語とピアノのコンサート
@sound&art Gallery 日+月+星(奈良市)
【長崎】5/25(土)
言の葉の音つむぎ
〜詩と歌とピアノのコンサート
@龍頭泉 風水庵(東彼杵)