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大分ツアーから戻り、すぐに東京へ。
今日は武蔵野市立吉祥寺美術館でコンサート。2回目です。
今回は、版画家・一原有徳氏の展覧会「ヒラケゴマ〜追悼・一原有徳展」に合わせたコンサート。「ジッケンセイサク x ソッキョウエンソウ」というテーマをいただきました。
そもそも、版画と音楽では、表現の成り立ち方が大きく異なります。
版画は、版を作り、押し、パッと開いた時に、一瞬で作品が表れ、完結します。
それに対し、音楽は「時間芸術」と言われるように、作品の成り立ちは、一瞬が連続して、時の流れが進むことで生まれてゆきます。
今回、このお話をいただいた時に、この版画的な制作方法、作品の成り立ち方を、音楽にも取り入れることができないだろうかと考えました。
また、版画家・一原有徳氏は、偶然性・実験性を楽しんだ方。それも演奏に取り込みたいと思いました。考えてみれば、学芸員のかたがつけてくれたタイトル「ジッケンセイサク x ソッキョウエンソウ」は、まさにやりたいことを表しているなぁと思います。
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そして、本番。
まず最初の数分間は、一原氏の制作風景をプロジェクターで壁に映しながら、それにシンクロするように僕もピアノに「細工」をしてきました。
そして準備が整ったところで、「ヒラケゴマ」。その細工がどんな絵を描き出すか(音楽を紡ぎだすか)。一原氏の30数点の作品をプロジェクターで壁に映し、その1作品ごとにインスパイアされる音楽を、完全即興で紡いでいきました。
どんな細工だったか、どんな実験音楽だったかは、その場に来てくださっただけのお楽しみ。というか、ここで言葉では伝えられないものですね。
僕は、ただただ、自由に楽しみながら、音楽をその場で生み出させてもらいました。
最後の2作品は、それぞれ15分ずつ投影。
僕が最後の2作品に選ばせてもらったものは、一つは津波を思い起こさせ、一つは希望の光を感じさせるものでした。
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僕のライブ活動のなかで、こんなふうに、実験精神に根ざし、新しいことに挑戦するテーマのものがそうたくさんある訳ではないです。でも、そのライブに置いても、そういう精神で、音楽を創っていきたいなと思いました。
お越し下さった皆さん、
機会を与えてくださった吉祥寺美術館の皆さん、
ありがとうございました。
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